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最高裁判所第一小法廷 昭和31年(あ)4203号 判決

主文

本件上告を棄却する。

理由

弁護人為成養之助、同青柳盛雄、同後藤昌次郎、同松本善明、同池田輝孝、同佐藤義弥の上告趣意第一点は憲法三八条違反をいうが、記録を調べても所論供述調書の内容たる供述が強制による任意性のないものであるとは認められず、従って違憲の主張はその前提を欠き、同第二点は憲法三一条違反をいうが、その実質は単なる訴訟法違反の主張であり、同第三点は単なる法令違反の主張であって、いずれも刑法四〇五条の上告理由に当らない。(なお、強盗の機会に殺人行為が行われる場合には刑法二四〇条後段を適用すべきものであるから、原審が第一審判決第二の行為につき、刑法二四〇条後段、二四三条を適用したことは正当である。大正一一年一二月二二日大審院連合部判決、集一巻八一九頁、昭和八年一一月三〇日大審院判決、集一二巻二一八二頁、昭和二四年五月二八日最高裁判所第二小法廷判決、集三巻六号八七三頁参照。)

被告人本人の上告趣意は判例違反をいう点もあるが、引用の判例は本件に適切でなく、所論は刑訴四〇五条の上告理由に当らない。(被告人は分離して起訴されており、本件には共同審理を受けた相被告人はなく、原審は第一審公判における多数証人の証言その他の証拠を総合して本件犯罪事実を認定しているのであって、原判決には所論の違法は認められない。)

よって刑訴四〇八条により裁判官全員一致の意見で主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 入江俊郎 裁判官 真野毅 裁判官 斎藤悠輔 裁判官 下飯坂潤夫)

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